桃色めがねでみた世界

私の目からみた世界や、私の感じたこと、考えたことについて、気ままに綴っていきます。

陣痛=赤ちゃんがこの世界の扉をたたく音

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私は陣痛そしてお産が好きです。

 

今まで2度の自然出産を経験しましたが、どちらも一生の宝物となる素晴らしい経験で、無痛にしたいと思ったことは本当に1度もありません。

よく聞く「痛みを伴って産まないと、子どもに愛情を持てなくなる」などという考えは間違いだと思います。

だって、出産と同等かそれ以上に、妊娠中や産後も大変だし、愛情というのは子どもとの関わりを続けていく中でだんだんと育まれていくものだからです。

それならばどうして私が陣痛を好きだと思えるのかというと、

 

陣痛は赤ちゃんとの対話であり、赤ちゃんが外の世界への扉をたたく音だからです。それを感じることができるのは最高に幸せで楽しいです。

 

陣痛は、赤ちゃんによって個性があると思います。

我が家の第1子Hちゃんは、予定日の2週間ほど前に生まれてきました。

生まれた日の前日は妊婦健診があり、お医者さんからは「産まれるのはまだ先になりそうだね〜」と言われていましたが、なんとその帰り道に突如破水。

再度病院を受診してそのまま入院となりましたが、その数時間後からHちゃんは怒涛の勢いで強烈な陣痛を起こし、猛ダッシュで生まれてきたのでした。

実を言うと、最初に破水したとき、私は全然心の準備ができていなくて「まだ産みたくないなぁ〜」とちょっと憂鬱な気持ちになっていました。

初産だから予定日よりそんなに早まることはないだろうと思っていたし、子どものいない生活をあと2週間ぐらい楽しみ尽くすつもりでいたからです。

初めてのお産に対する不安な気持ちもありました。

でも陣痛が始まるとHちゃんの勢いが凄すぎて!

「ママ何してるの、私もう出るよ!!待てないよ!!」と扉をドンドコたたかれているのを感じました。

最後は私が「わかったわかった、もう産むから許して〜!来ていいよ!」と覚悟を決めて無事に出産を終えることができました。

初めてのお産にひるむ私をHちゃんがリードしてくれたのです。

 

一方で第2子のFくんは、Hちゃんとは対照的にのんびりゆっくり生まれてきました。

Fくんとのマタニティライフは、Hちゃんのお世話もしながらだったのでなかなか忙しく、赤ちゃんがいつ産まれても問題ない37週に入っても入院準備や部屋の片付けなどが完了していませんでした。

そんな私の状態をわかっていたのか、Fくんは私の準備が万端になってから、39週で産まれてきてくれました。

また、お産のときにも「今回はゆっくり時間をかけて産みたいなぁ」という私の思いを汲んでくれて、私の精神的、身体的な状態と歩調を合わせるようにじわじわと陣痛を起こしながら、ゆっくり出てきてくれました。

 

同じお腹から生まれてきた赤ちゃんでも、これほどの違いがあります。

私にとってはどちらも大切な思い出だし、我が子の人となりを知ることができた時間でした。

そしてどちらのお産においても、赤ちゃんたちは陣痛を通じて、「外の世界に出たいよ」、「こんな姿勢で産んでほしいな」、「あともう少しで生まれるよ」、「今いきんで!」と、様々なメッセージを発し続けてくれました。

そんな赤ちゃんとの対話はとっても楽しいし、たとえ初めてのお産であっても、陣痛があったおかげで、どんなふうに産んだらいいのか本能でわかりました。

普段社会の中で生活していると、本能や直感よりも常識や規律を優先することが多くなりがちですが、本能や直感に従った方がうまくいくことってたくさんあると思うんですよね。出産もその一つだと思います。

また、「私にはこんな力があったんだ!」と自分の潜在能力に気づいて自信を持つこともできました。

 

私は痛みに強いわけではないし、どちらかというと怖がりです。

でも陣痛は外から加えられる痛みではなくて自分の内側から生じるものだし、自分を傷つけるための痛みではないとわかっているので、痛いのは確かだけど怖くはありませんでした。

 

近頃は無痛分娩が増えてきて、身近なところでも無痛分娩を選択したママさんたちがいらっしゃいます。

私は無痛分娩を選んだ人のことを否定するつもりはありません。

自然分娩、無痛分娩それぞれの仕組みやメリット、デメリットを理解した上で、出産をするママ自身が納得して選んだ方法であればそれを尊重するべきですし、周りがとやかく言うことではないと思います。

でも、その選択をする際の判断材料として、陣痛や自然出産には楽しいこともたくさんあるよ、ということもぜひ知っていただけたら嬉しいです。

 

(写真は4歳になったHちゃんが描いた、人魚の妊婦さんの絵です。)